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インタビュー#4 しーたさん

「伝言ゲーム、それが小学生の頃から物凄く苦手だった。普通の子は一回聞けばだいたいそのまま伝えられますよね。私はそれが全く出来なかった。最初の一言目でもう分からなくなって、いつも私のところで伝言ゲームは止まっちゃうんです」そう話すのは「しーた」(仮名)さん。

しかし、それは学力に影響するものではなかった。「学生時代の勉強は書き写すことが多いし、教科書もあるから」と説明する彼女の最終学歴は国立大学の大学院・修士課程卒。卒業後はプログラマーとしてのスキルも身につけた。けれど、社会にはいくつもの“落とし穴”があった。例えば電話応対。○○会社の◇◇に所属する▽▽ですと名乗られても、覚えられるのは最後の名前だけ。今度こそはと気合を入れて聞くと、最初の会社名こそ覚えることは出来たが後が続かない。耳から聞いた情報をそのまま記憶として保持することが出来ないのだ。そのため会議の議事録も取れない。さらに普通の人なら黙っていることが黙っていられない。会社の経営方針が「顧客第一」であるなら、会社より大事なのはお客様である。ならばとお客様の立場に立って会社にモノを言うと、同僚はしらけ、上司からは怒られる。それが何故だか分からない。欝になった。

会社を休職し、いくつかの病院に行った。そして医師は言った。「アスペルガーですね」と。彼女は全てが氷解したと言う。「人と違うんだ。それでうまくいかないことが多かったんだと分かり、安心したんです」。彼女は職場に発達障がいであることを明らかにして復帰した。さらに、彼女を後押ししたのは新たな上司だった。上司は彼女の能力・実力を認めていた。そこで彼女にこう指示した。「途中経過に細かいことは言わない。やり方は任せる。自分の好きなようにやりなさい。但し結果だけは出せ」と。彼女は言う。「上司の理解がキーだ」と。傾聴に値する一言である。

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