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インタビュー#3 あーささん

人が生き生きと働くためには必ず誰かのサポートが必要だ。同僚や上司など、良き出会いが不可欠となる。しかし、彼女の場合は最初からその出会いがあった。「出来ないところは助けてもらう。そのかわり感謝することを忘れず、後で必ず、自分のできることで恩返しをすること。そうすれば周囲と仲良く暮らしていける」。そう声を掛け続けてくれたのは彼女の母親だったからだ。

彼女は「あーさ」さん。もちろんペンネーム。現在32歳。ADHD。発達障がいに関する漫画を執筆している。実に生き生きと働いている彼女だが、あまりのミスの多さに職場を4ヶ月でクビになったこともある。その時、彼女は決意をした。「事務は向いていないんだと分かったんです。頑張ればできると思っていたんですが、これは無理だと。ADHDは頑張ってもできないことがあるんだと。だったら自分に向いている好きなことを仕事にしてみようと思ったんです」。ではどんな仕事を選ぼうか、そう考えた時にも母の声が聞こえてきたと言う。「人が喜ぶことをして喜べる人間になりなさいと。そう言う人間が一番幸せになれるんやと。自分の幸せのために頑張る人間よりも、人の幸せを考えて頑張れる人のほうが何倍も何倍も幸せになれるんやでと。ずっと子どものころから母にそう教わっていたんですよね」彼女はそう言いながら微笑んだ。

その後、彼女は産業カウンセラーの資格を取り、地方の発達支援センターで巡回相談員をすることになった。発達障がいの当事者として、学校や保育園で、先生方にアドバイスするのが彼女の仕事だ。「事務の仕事ではミスの連発で、皆の足を引っ張ってばかりの私でしたが、今はこうして、微力ながらも人のお役に立てる。それがとても嬉しい。」そう言って、また「あーさ」さんは微笑んだ。